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2.指導案実践例

文化箏で「さくらさくら」を弾く
~3時間で4部合奏まで~                      増渕 喜子
日本古謡の「さくらさくら」を題材に、3時間という限られた時間で、メロディーを弾くことから、文化箏3部にリコーダーを加えた合奏までの授業を提案いたします。

授業例 ~小学校4年生で3時間~

1時間目
  • 10分 箏の歴史と箏の各部分の名称を学ぶ

  • 10分 箏の爪をはめる(親指と中指の2本)

  • ※本来は、親指、人差指、中指の3本にはめますが、基本的な奏法の学習では、爪の数の節約と爪選びの時間の節約のため、人差指は省略します。最初は、親指一本でも可能です。

  • 10分 座り方

  • 座奏
    立奏
    楽器への構え方:まず、左手の位置を決める。箏柱の左側9弦に人差と中指を置く。
    左手の型を作る:左手を握り、右手を上から左手の握りこぶしを包み持ち上げて親指をピンとしならせ、2、3、4、5の指を軽く曲げる。
  • 15分 弾いてみる

  • ・まず、中指(3)で1→巾をグリッサンド奏法で弾いてみる。
    ・次に、親指(1)で巾→1を続け繰り返し弾く。目を閉じて弾かせると緊張感が高まる。全員弾くことができるので、とても興味を持ち、意欲が向上する。
    「さくらさくら」のメロディーを弾く
    ・薬指(4)を4弦の龍角と弦の交わったところに置き支えとする。人差し指(2)も同じ弦に付け、中指(3)は3弦に付ける。親指を7弦に置く。
    ・7.7.8を弾く(親指は必ず次の弦で止める)
    ※薬指が正しく止まって支えになっていることを確かめる。
    ・5.4.5.6を弾く。薬指を1弦に伸ばして支える。
    ・メロディーを繰り返すとき、支えの薬指を移動させる。
    2時間目
    • 45分 さくらのメロディーをマスターする。

    • ・7.7.8(10.9.8)の飾りを入れる。
      ・中指(3)で1弦から巾までグリッサンドする。
      ・1弦を中指(3)、5弦を親指(1)で同時に弾く。(合わせ爪)
      ※薬指(4)を2弦に置いて支える。
      ・さくらのオクターブ高い 為、為、巾を弾く
      ・巾♯は左手の半音押し
      ※押した後直ぐに離さず、次の巾を弾くときに離す。
      3時間目
      • 45分

      • ・箏3パートの合奏
        ・さらにリコーダーとの合奏

      ヴァリエーション

      文化箏を一人一面使って授業する場合、2時間目の後半で合奏ヴァージョン(文化箏3のパート5432)の楽譜を用いると親指の効果的なエチュードになります。このヴァージョンは、親指の基本練習曲で、親指を次の弦に当てて弾くコツを学ぶことができます。 同時にさくらのメロディーの伴奏になります。5432と、数字を声に出して歌わせながら弾かせると、直ぐに弾けるようになります。短い時間で簡単な合奏が楽しめます。

      この実践例は、増渕喜子先生が15年以上にわたり実際東京都内の小中学校で授業をされた体験を元に作成されました。 豊富な知識と優れた技量に裏付けされた和楽器奏者としての視点と、教育現場をよく理解した現場の視点がミックスされ無理のない合理的な提案になっています。
      増渕喜子先生略暦
      東京芸術大学音楽学部邦楽科 卒業。 山田流箏曲を中能島欣一に師事。 生田流筝曲を沢井忠夫氏に師事。 NHK邦楽技能育成会第18期卒業。 前、武蔵野音楽大学講師。 昭和音学大学付属音楽教室講師 現在は、各地(品川区・杉並区・中野区・台東区・板橋区・江東区・羽村市・西東京市等)の小学校、中学校にゲストティーチャーとして、箏・文化箏・三味線の指導にあたっている。 平成6年には、中野区教育委員会より学校ならびに社会教育における邦楽指導の貢献に対し感謝状を授与される。